STYLES with Ferraresi

日常に映る美学。
Ferraresiを持つ
人々の姿。

Stylist

Naoki Ikeda

1973年、イタリア・フェラーラの小さな革工房から始まったバッグ・革小物ブランド「Felisi(フェリージ)」。
半世紀以上にわたり受け継がれてきた職人技とタイムレスな美意識を背景に生まれた「Ferraresi(フェラレージ)」は、
発祥の地であるフェラーラの街並みに着想を得たシリーズです。ブランドと関わりのある4名の日常やスタイルを通して、
Ferraresiが持つ上質さと、さまざまなシーンに溶け込むアノニマスな魅力に改めて迫ります。

「自分はこうだ」と
断定したくない。

池田さんがスタイリストという職業に惹かれたきっかけはなんだったんですか?
何かと何かが組み合わさって生まれるものに、昔から強く惹かれるんです。ファッションのスタイリングも、ひとつのアイテムが変わるだけで印象がずいぶん変わるじゃないですか。それがおもしろい。子どもの頃、そうやってコーディネートをする楽しさに開眼して、スタイリストになりたいと思うようになったんです。
最近はセレクトショップのバイイングにも携わっているそうですね。
自分で何かをつくるというより、そうやって選んだり、集めたりするのが好きなのかもしれませんね。
池田さんの表現を見ていると、アメリカやヨーロッパ、トラッドやアウトドアといったように、さまざまな要素を感じます。どんなスタイルやカルチャーに影響を受けたんですか?
ベースとしては、やっぱりアメカジが強いですね。ニューヨークに住んでいた時期もありますし。でも、ヨーロッパの文化も好きだし、日本の古いものにも興味があって、アンテナは多方に張っているかもしれない。「自分はこうだ」と断定したくないんです。
余白を残すというか、境界線を引かない。
いろんな選択肢があったほうがいいじゃないですか。服も「あれにも合うし、これにも合う」っていうものが好きなんです。だから色に関しても、グレーとかベージュの服をよく着るんです。
いまも変化し続けているということですよね。
そうかもしれないですね。「ここまでやっておけばOK」みたいなことではなくて、もっと楽しみたいんですよ。たとえば雑誌で白シャツを紹介する企画があったとして、もちろんいろんな提案をするんですけど、その中に「いまだったらこういう白シャツがいいよな」という気持ちがないとおもしろくない。お題に対して楽しいと思えるポイントを、考えてスタイリングしています。
想像の枠を越えるということですか?
ぼくたちの仕事はクライアントがいて、なにかしらのお題をいただくわけです。
その中には無数の選択肢があって、「それを持ってきたか!」という驚きが楽しさにつながる。普通に仕事としてしっかりやれば及第点まではいけるとしても、自分としては「こっちのほうがいい」と思ったものを提案すると、クライアントも意外とよろこんでくれたりするので、毎回その領域に辿り着けるように仕事をしていますね。

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削ぎ落とされた
時代の空気感が好き。

常に新鮮な提案をされていても、やっぱりどこかに池田さんらしさを感じます。先ほど話したように、 ひとつのスタイリングにたくさんの要素を感じるけど、それが品よくまとまっているというか。
盛っているスタイリングも好きで、自分もそういった方向も目指そうとしているんだけど、最終的には「やっぱりいらないか」って削ぎ落としてしまうことが多いかもしれません。
引き算しているということですか?
合理的な考えに落ち着く感じというか。最小限の要素で表現をした方がやっぱり好きで、結果シンプルになっていくのかもしれません。
デコラティブなものよりも、道具的なもののほうが好みですか?
きっとそれはあると思います。でも、だからといって装飾的なものを毛嫌いしているわけでもないんです。きちんとした理由が欲しいんですよ。それで綺麗になったり、かっこよくなればいいなぁと思っていて。
ご自身の身の回りのものも、そうした合理的な基準で選ぶことが多いですか?
結構直感で選んでいるような気がします。いいなと思ったら、その気持ちを大切にしたい。その上で買ってもいい理由を見つけるんです。
その直感の共通点が、どんなところにあるのか気になります。
50~70年代のモダンデザインが好きなんだと思います。
ミッドセンチュリーの時代のものですか。
70年代も後半になると、ヒッピー色が濃くなり、デコラティブなものが増えていきますよね。ただ、ぼくはそれ以前の、削ぎ落とされた時代の空気感のほうが好きなんです。それもやっぱり合理的ということなんだと思います。ル・コルビジェも装飾を排した美しさを追い求めていたし、どんどん削いで引き算をしていった先の、どうしても取りきれない装飾性みたいなものが残る。そのバランスというか、塩梅みたいなものが好きなんでしょうね。
なるほど。でも、新しいものもチェックはするんですよね。
もちろんです。いろいろ試した上で判断したいので。気になるものがあればとりあえず試して、自分の中で落ち着くところを探しますね。
それはファッションも同じですか?
そうですね。ただ、いまはファッションがすごく細分化されているから、新鮮さみたいなものを感じるのってすごく難しいと思うんです。ブランドのルックを見たり、街歩くひとのファッションとか、SNSもチェックしながら探してはいるんですけどね。本当にいまはムードを読み取るしかない。
たしかにトレンドも輪郭がぼやけているというか、時代のムードはあるけど、具体的な何かがあるわけでもないですよね。
きっとトレンドはあるんでしょうけど、消化のスピードがすごく早いんだと思います。急上昇したと思ったら、すぐに急降下するみたいな。自分はできる限りそうした乱気流に飲まれたくない(笑)。とはいえ、なにも変わらないというのもイヤなので、ちょっとづつ試すみたいなことはしておきたいんです。それが自分のトレンドとの向き合い方ですね。

クラシックから
カジュアルへの
アプローチ。

池田さんはバッグにどんな機能やデザインを求めますか?
ぼくの場合、鞄もコーディネートの一部として捉えているんです。だからバッグを持つ日は、服を引き算します。装いの付属品ではなく、アウターと同等のアイテムとして合わせる。それがないとスタイルが成立しない、というバランスで組み立てています。いろんなスタイリングに合わせたいので、自然とバッグの数も増えていきました。
Ferraresiに関しては、はじめてご覧になられたとき、どんなことを感じましたか?
鴨志田さんが手がけていることは知っていたし、金子さんもSNSで紹介されているのを見ていて、気になってはいたんです。使いやすそうだなって。
どんな部分に使いやすそうと感じたんですか?
最近、こういうバッグってないじゃないですか。どれもユーザーフレンドリーになりすぎていて、持ち物を想定してデザインされたものが多い。でも、Ferraresiはすごくシンプルなんですよ。今日ぼくが持っていたアイテムも、古いハンティング用のバッグをリファレンスにデザインされたと聞いて、サイズも普段使いにしては大きすぎるくらいなんですが、そのバランスが可愛さにつながっているような気がします。収納も1層構造のメインコンパートメントの中に小さなポケットだけという簡素さがいいなと思って。
ある種、削ぎ落とされているということですよね。
そうですね。全然足し算がされていない。めちゃくちゃクラシックだなと思いました。それがぼくにとっては心地いいんです。あと革のバッグは重たいイメージがあるけど、これは本当に軽いです。もともとFelisiもナイロンとレザーのコンビで軽さを出していたから、そうしたDNAもきちんと受け継いでいますよね。
Felisiに対してはどんな印象をお持ちでしたか?
いまってスーツにバックパックを背負うことが当たり前になったけど、もっと昔は革の重いブリーフケースを持ち歩くのが一般的でしたよね。そのちょうど狭間にFelisiがいるような気がするんです。ある種スーツスタイルを変えたというか、あの当時の革新的なバッグだったんじゃないかなって思うんですよ。
スーツスタイルを柔らかくするというか。
そうですね。ただ、今度は現代に近づくにつれてどんどん軟化してきてしまった。だからこそ、こういうクラシックなバッグがまた気になるというひとも増えそうですね。一周回った感じがします。

仕事で使用する裁縫セットなどをまとめたKirkham'sのポーチのほか、手帳や本、イヤホンなど、池田さんの日常に欠かせないアイテムが揃う

そうした文脈のなかで、Ferraresiはどんな存在になると思いますか?
最近のバッグはスポーツ由来のものがすごく多いですが、Ferraresiに関しては古い時代からの引用も多いですよね。だけどスーツスタイルに限らず、カジュアルまで持っていけるというのが他にはない魅力だし、そこに高いポテシャルを感じます。
スーツにバックパックを合わせるのが一般化されたように、いまはスポーツ側からスーツスタイルに寄っていってるけど、Ferraresiの場合はクラシックからカジュアルやストリートにアプローチしている。
そういう意味ではかなりユニークな立ち位置にいるのかもしれません。
そういう文脈で捉えたときに、かなりの独自性を感じるんです。他にそうしたアプローチでやっているブランドの話を聞いたことなんてないし、だからこそアイテムのラインナップもさらに充実すると、おもしろいことになりそうだなって思いますね。

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池田尚輝

1977年、長野県生まれ。スタイリスト。
坂井達志氏に師事したのち、2000年に独立。2005年にはニューヨークに留学。帰国後はメンズファッション誌や広告、カタログなどのビジュアル制作を中心に幅広く活動する。近年はセレクトショップのバイイングにも携わるなど、表現のフィールドを広げている。

YAECA APARTMENT STORE

YAECA APARTMENT STOREはYAECAが2012年にオープンした2つ目の直営店。
洋服の他にも、生活雑貨や本など暮らしに寄り添うセレクトアイテムを取り扱う。
現在では池田尚輝さんによるセレクト部門「LINDLEY」も展開している。

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