STYLES with Ferraresi

日常に映る美学。
Ferraresiを持つ
人々の姿。

Fashion Director

Keiji Kaneko

1973年、イタリア・フェラーラの小さな革工房から始まったバッグ・革小物ブランド「Felisi(フェリージ)」。
半世紀受け継がれた職人技とタイムレスな美意識を背景に、2025年春、新シリーズ「Ferraresi(フェラレージ)」が誕生しました。
発祥の地フェラーラの街並みに着想を得たバッグは、このブランドらしい上質さと、多様なシーンに馴染むアノニマスなデザインが魅力。
ブランドゆかりの5名の日常やスタイルを映し出しながら、彼らとFerraresiの間に潜む親和性に迫ります。

なにもないところに
価値を見出せたら
一番乗りできる。

金子さんは、さまざまなブランドのファッションディレクター及びコンセプターとして活躍していますよね。この仕事の役割について、ご自身でどのようなことを考えていらっしゃいますか?
コンセプトというのは、そのブランドの本質に当たる部分だと思っています。ぼくの仕事は、そこに別の角度から光を当てて、新しい価値を発見することです。ただ、一方ではビジネスとしても成立させなければいけない。すると、急にコンセプトや方向性がブレたりする場合もある。それって本末転倒だし、ブランドにとって良くないケースもありますよね。だから絶対にブレてはいけない本質を守ることも重要で、そのバランスを見極めることが自分にとってはいちばん大切なことだと考えています。
それをするには独自の視点が必要だと思うのですが、そこにはバイヤーとして長年活躍されてきた経験が活かされているのでしょうか。
そう思います。やっぱり、他のひとがやっていないことをするのがぼくの仕事なんですよ。そうじゃないと、お客さんに買ってもらう理由が見つからない。ぼくはバイヤー時代からずっと隙間を縫うような買い付けを意識してきたので、それを考えるクセが染みついているんです。“これが足りない”とか、“本当はココがおもしろい”といったニッチな視点でモノやブランドを眺めるんです。
常日頃から、そういうことを考えていらっしゃるんですね。
みなさんアイデアを練っておもしろいものをつくっているわけじゃないですか。そこで同じ土俵に立っても、勝つかもしれないし、負けるかもしれない。つまり、他の方々と同じことをしても、世にあるもので勝負することになってしまう。だけど、なにもないところに価値を見出せたら一番乗りできるし、やる意味があると思うんですよ。
でも、これだけ情報が飛び交う時代の中で、いろんなものが掘り起こされていると思うんです。そこで新しい価値を見つけ出すのは、簡単なことではないですよね。
日に日に狭まっていっている感覚はありますね。時代が進めば進むほど、いろんなプロダクトが生まれるので。だけど、それと同時に人間の感覚やムードも変わっていくと思うんです。そうした時代の変化に敏感でいると、おのずと隙間が見えてくる。諸行無常というか、そうした人間の性質に着目しながら、諦めずに見るようにしていますね。
そうした金子さんのスタイルは、どのように形成されていったかが気になります。影響を受けたヒト、モノ、コトはありますか?
本当にいろんなひとに影響を受けまくっていて、無数なんですよ(笑)。それはいまも変わらないんです。
いまもいろんなひとに影響を受けているということですか?
そうですね。誰に会ってもいいところが見えてしまって、そうすると、なにか入ってくるものがある。根っこにバイヤーとしての気質があるから、ひとを見るときも表層的な部分だけではなくて、そのひとが送ってきた人生や本質を想像するんです。たとえばそのひとがデザイナーだったりすると、「だからこういうプロダクトが生まれたのか」と勝手に腑に落ちたりすることもあって、あえてモノだけで判断することもあるんですけど、やっぱりひとの部分はすごく大事だなって思ってます。

/

自分のスタイルの
ポイントは「温故知新」。

服やプロダクトを含めて、金子さんはさまざまなアイテムを試されている印象があります。そこにも金子さんのスタイルがあるような気がするんです。
使ってみて分かることってあると思うんです。だからぼくの場合、気になったらとりあえず使って試してみる。そして最終的に自分とモノとのあいだに、どういった関係が構築されるかを見るんです。自分にとっての本当に道具になり得るか、ということが重要で、そこは意外とドラスティックというか、シビアに見ています。
普段の服装も含めて、金子さんの私物はクラシックで道具的なものが多い印象があるのですが、クラシックとモダンのバランスについてはどう考えていらっしゃいますか?
モダンは常に変化していて、今日の考えも明日には変わるかもしれません。だから“モダンを追う”というより、外の世界を見続けて、ひとやSNSから刺激を受けて、その流れの中に身を置くことを大事にしています。そうすれば感覚はずれないと思うんですよ。
常にアンテナを張り続けながら、新しいものを追求するということですか?
未来のことは常に考えてますね。その未来を形成するソースが“いま”だったり“クラシック”だったりするわけですよね。だからこそ、いろんなモノを試すっていうことをしているのかもしれません。
新しいものも、古いものも問わずですか?
たとえばカメラの機材なども、新しいものから古いものまで隈なくチェックするんです。カメラに限らず、両方知っていないと、本当の楽しさがわからないんじゃないかって思うんですよ。だから温故知新ですよね。そこに自分のスタイルのポイントがありますね。

バッグには、MacBook AirやiPad mini、カメラ、お財布、ポーチ、バッテリーなど金子氏のライフスタイルに欠かせないアイテムが揃う

一発でなにかを
解決してくれる力を
感じた。

ちなみに、バッグ選びの基準にもそうしたアイデアが当てはまりますか?
バッグに関しては、自分のスタイルを格上げしてくれるものを選んでいるかもしれません。バッグって、自分をよりよく見せてくれる強い道具みたいな感覚がぼくにはあるんです。
それはどういうことですか?
つい先日、ニューヨークへ旅に出かけたんです。飛行機に乗るときって気の抜けた格好をしがちだけど、最近ぼくはちゃんとした服装で乗るのが気分で、そこに合わせたのがFelisiのバッグなんですが、やっぱり気持ちが引き締まるんです。
コーディネートの完成度を上げるというか、そういう感覚ですか?
そうですね。つい先日もFerraresiのバッグを見させていただいて、懐かしさと新しさが同居したプロダクトになっていて、すごく新鮮な気持ちになりました。一貫したものづくりの丁寧さや、金具など付属品の品の良さがあって、「たしかにこれがFelisiだったよな」と懐かしい気持ちになったのと同時に、鴨志田さんのディレクションによる新たなエッセンスも加わっていて、本当に温故知新なプロダクトになっているなぁと。このバッグを背負っていれば、たとえ服を頑張らなくてもコーディネートが成立するくらい、一発でなにかを解決してくれる力を感じたんです。
もともとFelisiは「ÉDIFICE 」のバイヤー時代に取り扱われていたんですよね。
ぼくがÉDIFICEに入った頃から、既に先輩バイヤーが仕入れていて、その頃はドレスフロアで展開していましたね。もう30年近く前のことですが(笑)。Felisiといえばナイロンとレザーの組み合わせが印象強いですが、キャンバスとレザーを合わせた四角いバッグもあって、それが身内の中で大人気だったんです。ぼくもそれを最初に買って、「エディフィス」らしいフレンチスタイルに合わせるのが定番でした。その後にぼくもバイヤーになり、ドレスからカジュアルに展開を広げ、かなり好き放題仕入れさせてもらいました。
そこから時を経て、Ferraresiをご覧になられたと。
先ほど話したようにバッグがスタイルを格上げしてくれるのと、なんといっても素材使いがものすごくいい。ぼくは大きいカバンほどラフに使ってしまうんですが、あのシボのレザーは傷が目立ちにくくて、本当に役に立っているし、プロダクトの佇まいをすごく良くしていると思います。
普段使われているのはショルダーバッグですよね。
クルマや自転車に乗って移動することが多いので、そういうときにショルダーはすごく便利なんです。背中からすぐに前に回せて、モノを取り出しやすい。持ち歩く荷物も多いので、この大きさも重宝してますね。
バイヤーという職業柄もあると思いますが、旅に出ると、肌身離さず持つみたいなことが染み付いているのかもしれませんね。
それもあると思います。旅では荷物の出し入れが多くなるので、ショルダーだと動作的にも理想的な使い方ができますね。
最後になりますが、今後FelisiやFerraresiに期待することはありますか?
これはぼくもそうだったのですが、Felisiのバッグはファッションアイテムとして見られてきた印象がありますよね。だけど実際に使ってみると、道具としてきちんとつくられていることが分かる。このブランドが長いあいだ多くのひとに愛されてきた理由は、そこにあると感じるんです。ニューヨークの旅で実際に使ってみると、その美しさはもちろんですが、人間の動作に合わせたつくりになっていることに気づいたんです。そうした魅力がもっと多くのひとに伝わるといいですよね。
そこに金子さんならではの視点を感じます。
これだけ情報が多い世の中だと、どうしてもその表面だけを見て判断してしまうことが多くなってしまいます。だけど、そうじゃない部分にも魅力はたくさんある。実際に使ってみることで、きっとそれがわかるはずです。

/

金子恵治

「ÉDIFICE 」や「L'ECHOPPE」でのバイヤーを経て、現在は2025年春夏よりスタートしたブランド「FOUNDOUR」のディレクターや、外苑前にある「BOUTIQUE」のオーナーとして活躍。一方では、ファッションディレクター及びコンセプターとして、さまざまなブランドの舵取りも行っている。

Other Interviews

NEAT Designer
Daishi Nishino
6 Director
Eriko Yoshida
KAPTAIN SUNSHINE Designer
Shinsuke Kojima
Ferraresi Director
Yasuto Kamoshita
Event Report

©Union Gate Group, All Rights Reserved.