Naoko Okusa / Stylist
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- 選びたくなる「理由」があるバッグ
- ファッションエディターであり、スタイリストである大草直子さんが、創立から50周年を迎えた「フェリージ」のバッグの魅力を綴る特別企画。大草さんがピックアップしたのは4つのバッグ。それぞれのバッグに心惹かれた理由を、私物と合わせたコーディネートとともに紐解きます。
NAOKO OKUSAʼS STORY
# 1
ややドライタッチで柔らかなシュリンクレザーは、使い込むほどにクタっと馴染んでくるので、育てたいと思わせてくれるバッグです。ノートPCやA4の書類も入る、しっかりとした大きさがありますが、ハンドルが華奢なのと表に金具が使われていないため、バッグだけが目立つこともありません。色展開が豊富なシリーズなので、色選びも楽しみのひとつですが、私は、バッグの大きさを中和してくれるトープをセレクト。黒を入れないまろやかなカラーコーディネートに、ジャケットの縦長の四角と、バッグの横長の四角を重ね、グラフィカルなコーディネートに。内側にあるストラップを留めると台形になるのもユニーク。上半身とのバランスやその日の気分でアレンジを楽しんで。
NAOKO OKUSA’S FAVORITE POINT
# 2
このブリーフバッグの魅力は、直線と曲線の両方がデザインに施されているところ。レザーの四角いバッグは堅い印象が強くなりますが、そこに曲線が入ることで、真面目さが和らぎ、しなやかさを添えてくれます。また、重厚感がありながら、実は軽いのも高ポイント。布のバッグは軽いのですが、そのぶん存在感も軽くなります。ビジネスシーンで求められる、きちんと感や信頼感がありながら、持ってみるとすごく軽いというのが、本当に素晴らしい。今回は、コットンのシャツにツイードのジレ、光沢のあるパンツ、シュリンクレザーのバッグと、表情の異なる素材をレイヤードすることで奥行きを出し、バッグが際立つコーディネートに。
NAOKO OKUSA’S FAVORITE POINT
# 3
外出するときに持ち歩きたいもの――スマホ、ハンカチ、サングラス、ポーチにサーモマグまで、すべてが入るバッグです。それでいて、バッグ上部のストラップを絞ると、丸みを帯びたフォルムになり、あまり大きさを感じさせません。コットンキャンバスとシュリンクレザーの組み合わせにも、イタリアブランドならではの上質カジュアルなセンスを感じます。キャンバス部分はウォータープルーフ加工がされていて、耐久性もあるので、ONからOFFまでシーンを問わずに活躍しそうです。巾着型のバッグは着こなしのアクセントになってくれるので、シンプルなニット×パンツに合わせるだけで、洗練された着こなしが即完成します。
NAOKO OKUSA’S FAVORITE POINT
# 4
ナイロンとレザーを組み合わせたバッグは、私の中では”THEフェリージ”とも言える、アイコニックなデザイン。ただ、マットな質感のナイロンに落ち着いたカーキをのせていたり、ロゴがゴシックになっていたりと、サファリコレクションからは、新しい”イタリアンミリタリー”を感じ、とても心惹かれました。そう、このバッグは、ナイロンのカジュアルさとレザーの上品さ、その両方を持っているので、普段使いから旅行などさまざまなシーン、コーディネートに合わせやすいのです。今回は、イタリアのマダムをイメージしたリッチなカジュアルコーディネートに。ストラップのあしらい次第でショルダーバッグにもハンドバッグにもなるのも新しいですね。
NAOKO OKUSA’S FAVORITE POINT
COLUMN
フェリージと私。
私がフェリージと出会ったのは、ヴァンテーヌ編集部にいた頃です。誌面のためのスタイリングで、ウールのテーラードジャケットやカシミヤのニットに、レザーやナイロン、もしくはそのコンビを合わせていました。素材の上質さと、奥行きのある色出し、そして実用の美を備えたデザインは、やはりイタリアブランドならでは。それもそのはず。レザーはもちろん、金具にいたるまで、すべて本国のファクトリーで作られているのだから。加えて、ミラノの街を歩く女性たちが、栗色のウェービーヘアをなびかせて、フェリージのバッグを颯爽と持っている姿も、私の「憧れ度」を爆上げしました。やっと手に入れたファーストフェリージは、ネイビーとヌメ革のコンビのバッグ。革が飴色になるまで使い込んだのを覚えています。
今年、50周年を迎えたというフェリージ。そんなタイミングで、私もフェリージ熱が再燃。トープ色のレザートートは、軽くてしなやかで、繊細な色出しもきれい。キャンバスとレザーのコンビも、もしかしたら娘とシェアできるかな、なんて♡ 新しい、「今の私」でコーディーネートしようと思っています。
⼤草 直⼦
PROFILE
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⼤草 直⼦/スタイリスト
ファッション誌、新聞、カタログを中⼼にスタイリングをこなすかたわら、イベント出演や執筆業にも精⼒的に取り組む。2019 年4 ⽉には新しいメディア『AMARC』を⽴ち上げ、雑誌『AMARC magazine』も発⾏。著書も多数。