Ferraresi

Mr.Kamoshita

Interview

Ferrara〈フェラーラ〉の街並みや、人々のハートフルなマインドにインスピレーションを得た スペシャルシリーズ「Ferraresi〈フェラレージ〉」。 鴨志田ディレクターがFelisiの工房を訪れ、ゼロから構想を練ったそのシリーズには、どんなシーンにも、 どんなスタイリングにもマッチしながら“いま”を感じるバッグが揃います。

新シリーズに込めた思いは何か、現代のライフスタイルやファッション潮流に マッチするバッグとはどんなものか、 スタイリングのポイントはどこにあるのか、鴨志田ディレクターに訊きました。

profile

鴨志田 康人

Yasuto Kamoshita

東京都生まれ多摩美術大学卒。ビームスを経て、1989年にユナイテッドアローズの設立に参画。クリエイティブディレクターを務める。2008年に自身のブランド「カモシタ」を始動。2019年からは、ポール・スチュアート(日本)のディレクターとしても活躍している。2023年、日本におけるFelisiのクリエイティブディレクターに就任。

「Ferraresi」に込めた思いを聞かせてください。

Felisiの本社があるFerraraへ、今回のシリーズを制作するにあたり初めて訪問しました。 小さなイタリアの田舎町ってどこも素敵なんですが、Ferraraもコンパクトで本当に落ち着いた、なんというか品の良い街なんですね。歴史もあって、城壁や街並みの色がイタリア特有のアーシーな色をしている。石の色だったり土の色だったり、瓦の屋根の色だったり。昔ながらの色なんだけど、すごくそれが新鮮に見えた。こういう色のバッグを作りたいなと、街を訪ねて思いました。 「Ferraresi」のネーミングは“フェラーラっ子”、ミラノで言えばミラネーゼみたいなノリで名付けました。Ferraresiの響きが、自分が作りたい、思い描くインテリジェントな世界にぴったり合ったんです。なので、言葉が一つのコンセプトにもなっています。

それから、Ferraraに暮らす方々の親切で、愛情豊かなハートや、落ち着いた雰囲気にもインスピレーションを得ています。

デザインのコンセプトは?

20年以上前からFelisiを扱ってきた会社にいましたので、私にとってFelisiは本当に近しい存在なんですね。最初に出会ったときの印象は、その時代に相応しい、装いをかっこよく見せてくれるバッグでしたので、それを今の時代に落としたらどうなるか?という発想で、それぞれの形を作りました。

昔だと、ビジネスマンの持つバッグの定番といえばブリーフケースでしたが、現代ではなかなか持たないというか持てない。やっぱり堅苦しいから持ちたくないんです。世界情勢やライフスタイルの変化から、そういう堅いものがあまり素敵に見えなくなった。じゃあ代わりにどんなバッグがいいか?と考えたとき、ショルダーバッグみたいなスポーティなバッグを仕事に使うのもいいじゃない?という答えに到って。トートバッグやミニショルダーも同様ですね。 「リラックス」というのはここ数年どころじゃなく十数年も前からやっぱりファッションキーワードですし、仕事も休日も境がなくなってるいま、オンオフを問わずどんなシチュエーションでも使えるものっていうのはやっぱり重宝するし、今の気分だと思っています。

Felisiの場合、ナイロン×レザーコンビのイメージが非常に強いのですが、今回はあえて外装にナイロンは使わず、オールレザーで新しいFelisiの世界観を見せたいと思いシュリンクレザー×バケッタレザーのコンビにしました。決してゴージャス感を出すわけではなく、よりナチュラルな雰囲気を目指して。ケミカルじゃなくってナチュラルな佇まいのバックを作りたかった。

余談ですが、ミラノの空港でこのトートバッグを持っていたら、後ろから女性の方に「ステキね、どこの?」って声掛けられて。これこれこういうブランドのですと伝えたら、「ホントに素晴らしいね」って写真を撮っていきました。嬉しかったですね。思わず自分が作ったんですって言いたかったけど、さすがに我慢して(笑)。 女性のかたからいいねと言われて嬉しかったし、今回のデザインポイントなのかもしれないですね。男、男していないという。

鴨志田さんがバックに求めることは何でしょう?

前提として、バッグって先ほどのブリーフケースの例にあるように、その時代のライフスタイルを反映するものの一つかもしれないと思うんです。たとえば男性がブリーフケースを持っていた時代は、パワースーツを着ていて力強さを見せるのがよしとされていた時代で。リュックサック的なものを背負っていた時代もあり、BCBGとかお坊ちゃんな感じがよしとされた時代もありました。 いまはこうした(ドレスにも合う)ショルダーバッグをタウンユースにするのが、時代を映しているんじゃないか、という気がしますね。バッグによって働き方はこうなんだなあとか、社会ってこんな気分なんだなってのはわかるような気がして。そういう意味では、自分がバックに求めているものは、バッグを変えることによって、ファッション、スタイルが変わるもの。もちろん長く愛用できるクオリティも大切です。 Felisiを愛するお客様は、クラシックなものを好きな方が多いと思っています。ただ、古臭いのは好きじゃないはず。だから今回のシリーズでは、服は変えたくないけどもうちょっとスパイスを効かせたい、というときに効果的なバックを作ったつもりです。

Ferraraを訪れて思い出深かったことは?

ファミリー経営というのもあって、Felisiのスタッフが本当にラブリーでカインドリーで。それがイタリアのよさなので、大好きだなと思いました。また、昨今では100%メイド・イン・イタリーでモノづくりをコツコツやってるところは本当に少なくなってしまったんですけど、Felisiは工房で100%完結するモノづくりをしている。それが今回Ferraraを尋ねて一番感激したところですね。

ちなみにFelisiは、金具も伝統的なものを使っています。バッグをアップデートさせるときって、往々にしてこういう金物をソリッドでクリーンなものに変えがちなんですけど、今回あえてそこは古い良さっていうのを残したかった。というのは、こういうクラシックな部分にフェリージが守るべき良さがあると思うので。だから、それを古臭く見せずに、お洒落に見せたいなっていうのを考えました。

鴨志田さんがモノを選ぶときに大事にしていることは?

当たり前かもしれないけど、長持ちさせるということと飽きさせないということを考えると、クオリティは大事。クオリティがいいモノは、往々にして経年しても味がでる良さがある。だからやっぱり、クオリティコンシャスでありたいですね。それがクラシックとかモードとかそういうのはちょっとまた別の話で。良いモノで長持ちするモノがやがて、クラシックになると思っています。

Felisiを愛用しているお客様へのメッセージをお願いします。

長年、Felisiを愛用されてらっしゃる方、たくさんいらっしゃると思います。反面、ここ最近Felisiをお持ちにならなくなったお客様も多いと思います。(今回のシリーズは)自分が長年にわたって携わってきた、長年Felisiを扱ってきた経験と愛着があったので、やっぱりFelisiのよさ、輝きをもう一度取り戻したいと思って作りました。

今までのFelisiが決して悪いわけではないけど、ちょっと新鮮に見えるようなものをお届けしたい。

Felisiを愛用される方はやっぱりいいもの、どちらかというとクラシックなものを大事にする方が多く、なおかつ、あまりトゥーマッチクラシックではなくって、ちょっと常に現代的なアップデートしたスタイリングがお好きな方が多いと思うんです。 そういう方にぜひ持ってもらいたいFelisiのシリーズを作りました。なので、もう一度こんなFelisiあるんだなって思っていただけると思います。 ぜひ、注目してください!

Styling

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Shoulder Bag
大好きな色、ボルドーのショルダーバッグを軸にスタイリングしました。全体をダークトーンでまとめながらボルドーを効かせ、同系色の赤いニットをアクセントとして肩掛けしています。スポーティなブルゾンに対して、パンツはクリース入りの一本を選んで上品に。シティボーイという感じですかね(笑)。ちなみに鞄と靴は色合わせをするのがセオリーといわれますが、ケースバイケースだと思います。あまり合わせすぎてもつまらないので。今回はボルドーのバッグに対して黒の革靴を合わせています。黒とボルドーって、とても相性がいいんです。

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Tote Bag
堅苦しくないドレスアップをするときに、とても重宝するバッグ。自分は出張がとにかく多くてゴルフもするので、この大きさも調度いいんですよね。今日はライトブラウンのスーツを着てきましたが、昨今のワードローブの主流を占めるアーストーンやモノトーンの服に、このトートのナチュラルなカラーはとてもよく合います。
今日はそこに映える黄色いシャツをアクセントとして効かせました。ノータイなので、シャツにはあえてあまりアイロンを掛けずラフに。ダブルジャケットのボタンを下1つ掛けにしているのは、何でも他人とちょっぴりずらすのが好きだから(笑)。ちょっと崩したい、抜けを作りたいというときにおすすめの着方です。

Look

鴨志田ディレクターが、着こなしのポイントを解説します。

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